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『マスカレードホテル』の感想と考察|仮面をつける人とつけない人

『マスカレードホテル』で唯一仮面をつけなかった人とは?(※ネタバレ有り)

ホテルに来るお客さんは仮面を被っている、“マスカレード”という言葉が仮面や仮面舞踏会を意味していて、タイトルにもなっているように、“仮面”がテーマになっていた。

その中で、唯一仮面をつけてなかった人物、それは…

東野圭吾 マスカレードホテル出典:FASHION PRESS

あらすじ

都内で起こった3件の殺人事件。
すべての事件現場に残された不可解な数字の羅列から、事件は予告連続殺人として捜査が開始された。警視庁捜査一課のエリート刑事・新田浩介(木村拓哉)はその数字が次の犯行場所を示していることを解読し、ホテルコルテシア東京が4番目の犯行場所であることを突きとめる。しかし犯行への手がかりは一切不明。
そこで警察はコルテシア東京での潜入捜査を決断し、新田がホテルのフロントクラークとして犯人を追うことになる。そして彼の教育係に任命されたのは、コルテシア東京の優秀なフロントクラーク・山岸尚美(長澤まさみ)。
次々と現れる素性の知れない宿泊客を前に、刑事として「犯人逮捕を第一優先」に掲げ、利用客の仮面を剥がそうとする新田と、ホテルマンとして「お客様の安全が第一優先」のポリシーから利用客の仮面を守ろうとする尚美はまさに水と油。お互いの立場の違いから幾度となく衝突する新田と尚美だったが、潜入捜査を進める中で、共にプロとしての価値観を理解し合うようになっていき、2人の間には次第に信頼関係が芽生えていく。
そんな中、事件は急展開を迎える。追い込まれていく警察とホテル。
果たして、仮面(マスカレード)を被った犯人の正体とは・・・。
出典:公式ホームページ

見どころは新田(木村拓哉)と山岸(長澤まさみ)の立場の違う2人が歩み寄っていくところ

この映画の見どころとなるのは警察官である新田(木村拓哉さん)とホテルマンである山岸(長澤まさみさん)という立場の違う2人のタッグでしょう。

警察官は「人を疑い、犯人の仮面を剥がすのが仕事」であり、ホテルマンは「お客様を信じ、お客様の仮面を守るのが仕事」、全く逆の性質の2人が時間を共にすることによって、その価値観が交錯していくのが面白い。

エンドロールから振り返らされる、仮面というテーマ

エンドロールでは絵によって物語が回想されていたが、その際1人を除いて全員が仮面を付けていた。

思えば、新田(木村拓哉)達、警察官も潜入捜査の際にホテルマンに扮していて、それはまさしく仮面を付けている行為である。

最初は髪型も髭も服装もホテルマンになることを嫌がっていた新田(木村拓哉)も、物語が進むにつれて山岸(長澤まさみ)に認められるほどのホテルマンになっていた。

そんな新田と対照的なのが能勢(小日向文世さん)である。潜入捜査をしている場と知っていながら堂々と「警察です」と名乗り出るほどおっぴろげている。

そう、エンドロール、回想される絵の中で唯一仮面を付けてなかった人物は能勢(小日向文世)だ。

能勢だけが唯一仮面を付けず、警察官であり続けていた。他の警察官が仮面舞踏会の中翻弄されていた事件を、自分は舞踏会に参加しないことで解決に導いた。

人はみんな仮面を付けて生きている

新田(木村拓哉)は最初、ホテルマンになるのを嫌がって、「髪型が似合っている」と言われても不満そうだったが、物語が進むにつれ山岸(長澤まさみ)の想いが解り、価値観を共有できるまでになる。

その時、ホテルマンとしての仮面を手に入れたのだろう。

ペルソナとかいうやつ、それを感じさせてくれる映画だった。

スタッフ・キャスト

原作 – 東野圭吾『マスカレード・ホテル』(集英社文庫刊)
監督 – 鈴木雅之

脚本 – 岡田道尚

新田浩介 – 木村拓哉
山岸尚美 – 長澤まさみ
能勢 – 小日向文世
本宮 – 梶原善
関根 – 泉澤祐希
久我 – 東根作寿英
川本 – 石川恋
濱田岳
前田敦子
笹野高史
髙嶋政宏
菜々緒
生瀬勝久
宇梶剛士
橋本マナミ
田口浩正
勝地涼
松たか子
田倉 – 鶴見辰吾
尾崎 – 篠井英介
藤木 – 石橋凌
稲垣 – 渡部篤郎